都留文科大学学報(第145号)
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2021 年 1 月 13 日水曜日、比較文化学会主催 2020 年度後期講演会をzoom 上で開催しました。「見た目問題」について、NPO 法人マイフェイス · マイスタイル (MFMS) 代表の外川浩子さん、「当事者さん」である神原さんと村下さん、MFMS のアドバイザーや映像制作をされている朴基浩さんにご登壇頂き、話をうかがいました。前半は外川さんによる「見た目問題」についての解説を聞き、後半は朴さんがファシリテーターとなり「見た目問題」に関する経験について神原さんと村下さんから「当事者」の体験や見解をうかがいながら、議論しました。「見た目問題」とは2008年に出来た新しい言葉で、病気や事故、生まれつきで見た目に特徴的な症状がある人々がぶつかる問題のことを言います。「見た目問題」を持つ方は日本に推定100万人以上存在し、「当事者さん」と呼ばれます。今回ご参加くださった神原さんはアルビノ(先天性色素欠乏症)、村下さんはロンバーグ病(進行性顔面片側萎縮症)という症状があります。神原さんは他にも弱視という症状も抱えています。また村下さんもロンバーグ病に伴いやすい円形脱毛症を経験されたそうです。お二人とも、「自分が『普通』ではない」と感じる事を日常的に経験し、その悩みを抱えてきたとお話しくださいました。悩みと区切りが付いたのは、お二人とも20歳頃だったそうです。神原さんは大学で、村下さんは職場で様々な人々に出会い多様性に触れたことで、「普通」という考え方に囚われなくなったそうです。MFMSは「見た目問題」にぶつかる当事者さんのサポートや当事者さんの子どもを持つ保護者のサポートだけでなく、「見た目問題」を多くの人々に知ってもらう活動、制度や法律の整備に向けた活動も行っているそうです。昨年には「履歴書から写真欄もなくそう」キャンペーンの呼びかけも始めています。現在海外では黒人の白斑症のモデルやプラスサイズモデルが活躍するなど、美の価値観の多様化が進んでいます。また、SNSの普及により一般の当事者さんが声を上げ始めています。ぜひ「Birth mark(あざの意)」とSNSで検索してみて下さい。等身大の当事者さんの発信に接することができます。今回の講演会で最も大きな課題だと認識させられたことは、当事者さんとの接し方です。当事者さんに対し「私は気にしてないよ」と言うことは、当事者さんを普通ではないと見なしていることの表れなのではないかという議論がありました。当事者さんもそれぞれ異なる症状や価値観を持った別々の人間であり、一つの結論を出すことはできません。私は当事者さんも当然普通の人間なので、一人一人と普通に接するという以外にないのではないかと考えました。私たちに出来るのは「見た目問題」を認知し考えることです。この文章を読まれた方々はぜひMFMSやSNSなどを通じ一度「見た目問題」を調べてみてください。そして今度は周りの人に「見た目問題」を紹介してください。認知の輪の広がりが必ず良い方向に導いてくれる。私たちは今回そのように感じました。(比較文化学科 髙橋真洋・大野千緒)2020年度後期比較文化学会主催講演会人は見た目!と言うけれど~あなたは「見た目問題」を知っていますか?開 催:2021年1月13日(水)講師紹介外川浩子(とがわ ひろこ)NPO法人マイフェイス・マイスタイル(MFMS)の代表。生まれつきのアザ、病気や事故による変形、傷痕、脱毛など見た目に特徴的な目立つ症状がある人たちがぶつかる困難を「見た目問題と名づけ、問題解決を目指す。著書に『人は見た目!というけれど-私の顔で、自分らしく』(岩波ジュニア新書、2020年1月)がある。講演会だより402021年3月10日(水)

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