都留文科大学学報(第145号)
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オンラインによる就職支援の実施 4月1日の臨時教授会でコロナ対策本部の設置を含む基本方針が確認され、本学はようやく本格的な対策を進めることになりました。わたしはキャリア支援センター長を兼務することになり、早速、内定取り消しに遭った学生がどの程度いるのかをセンターに確認しに行ったところ、「一部にそうした事例はあるものの、可能な支援は行っており、大きな問題にはなっていない」とのことで取りあえず胸をなでおろしました。その後、学報143号でも述べたように、5月1日集計の就職率は97.7%で前年度よりも向上していましたから、昨年度の本学の卒業生は、まだコロナの影響を大きく受けずに済んだということでしょう。 しかし、就職戦線における影響が深刻になるのは今年度卒業生からです。2020年4月16日に全都道府県を対象とする緊急事態宣言が発せられたことを受け、キャリア支援センターでは、その直後から、全相談員の学生対応をオンラインに切り替えました。執行部の対応は、前述のような経緯で心ならずも後手に回ってしまったのですが、センターのスタッフは、この状況を見越し、オンライン対応に利用可能な機材を調達するための工夫を凝らしていました。 企業や教育委員会、官公庁の採用ではオンライン面接の割合が高くなると予想されたので、従来から行ってきた対面面接の講座と併せてオンライン就活のためのガイダンス、対策講座を実施し、学生の希望によって選択できるようにしました。それによって、大学に来られない学生も実家や自室から相談し、講座も受けられるということで好評でした。オンライン対策講座には、カメラ越しに表情を伝える方法の指導なども含めました。就職対策の模擬試験も在宅受験に切り替え、送料は大学が負担することにしました。他方、最終面接については、企業、自治体ともに対面によるものが多かったので、例年よりも教室を多く確保し、感染防止対策を講じた上で対面での面接練習を行いました。 こうしたセンタースタッフと、もちろん学生の皆さん自身の努力により、今年2月1日現在の中間調査では、進路の決定率が79.0%となり、最終的な就職率が好調だった昨年度同日の75.5%よりもさらに高くなっています。もちろん、あと2割の学生は例年以上に苦労している可能性もあり、最後まで支援の手は緩められませんが、厳しい状況にもかかわらず健闘していると言ってよいでしょう。コロナ対策を通して見えてきた新たな可能性 また、この数字には、コロナ対策を通して、本学の学生にとってはむしろ就職活動を幅広く行う条件が生じてきたことも影響していると思われます。 一つは、合同説明会に参加してくれる企業が増えたことです。これまでは、本学の学生に関心を持ちつつも、来訪にかかる時間の関係で断念していた企業が少なくありませんでしたが、遠隔システムが普及したことにより、ZOOM等を用いて参加してくれることが可能になりました。 二つ目は、1次、2次くらいまでの入り口の段階の面接は、対面ではなくオンラインで行う企業や自治体が増えたので、学生も遠方まで出向く時間と交通費をかけずに、これまでよりも多くの志願先を対象とした就職活動ができるようになったことです。 三つ目は、これまでは大学に出向いて受講する必要のあった講座や就職相談に、遠隔でも参加できるようになり、地元での就職活動等で実家に戻っている学生や、留学中の学生、さらに卒業生にも利用してもらえるようになったことです。 就職活動、キャリア支援においても、厳しい状況に挫けるのではなく、その中から生まれてくる新しい条件を見つけ、積極的に活用することが、大切だということです。今後に向けて 複雑な状況の中で試行錯誤しているのは学生と大学だけではなく、企業や自治体が優れた人材を発掘し、選び出すために費やす苦労もこれまで以上に多くなっています。したがって、肝心なのは、この一年で急速に進んだIT環境への適応はもちろん、困難な状況にも対応できる人間としての底力を育て、採用側に見えるように伝えることです。 コロナ終息後もこれを機に生じた変化の少なくない部分は残ることになるでしょう。本学のキャリア支援も状況に柔軟に対応しつつ、新たな充実を進めていこうと考えています。35都留文科大学報 第145号

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