都留文科大学学報(第145号)
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私は1987年4月に都留文科大学に赴任致しました。その頃退職される先生のご挨拶の中で30数年勤められたというお言葉を聞き、当時の自分の年齢を超えており、それほど長く勤められるものかと内心思っておりました。光陰矢の如し、私も34年間都留文科大学で教鞭を取らせて頂き、定年を迎えることになりました。赴任してからしばらくは、専任女性教員は1割かそれ未満だったでしょうか。教授会をはじめとする会議では男性教員の姿ばかりが目に入り、縮こまって俯いておりました。今では女性教員も委員長や学科長を務めるのは当たり前ですが、当時はそのようなこともありませんでした。月日が流れ、私も英文学科主任(当時は学科長ではなく、主任の名称)を務めることになり、学科をまとめていく苦労を体験致しました。その後、50代半ばでクモ膜下出血を患いましたが、幸運にも復帰することができ、定年まで働き続けられたことに感謝しております。教職員の皆様、学生達をはじめとする多くの方々に支えられたお蔭です。この場をお借りして改めて御礼を申し上げます。この体験から人は一人では生きられないことを痛感し、命の大切さ、有り難さを身に沁みて感じております。在任中、境遇、出身地等の異なる学生達からも多くの事を学ばせて頂きました。苦労して大学に来て、卒業していった学生もいました。長年勤めた間には、ゼミの教え子のお子さんが本学に入学し、訪ねてきてくれたこともありました。また、高校訪問や教育実習の派遣指導に行った折には、教え子が立派に教員として活躍しているのを見ることもできました。卒業生がお子さんを連れて訪ねてきてくれることもあり、時の経つ早さを実感すると共に教え子の成長を卒業後も見守ることができたのは嬉しい限りです。今ではパソコンやインターネットなしには仕事も出来ませんが、赴任してからしばらくはパソコンもインターネットも普及しておらず、会議通知等も封書で来るような時代でした。今は便利なことも多くなりましたが、果たしてそれが本当の意味で文明の進歩と言えるのかということも時折考えます。今年度は新型コロナウイルスの発生によりオンラインで講義することを経験し、パソコンとインターネットは必需品になりましたが、ハッキング、個人情報の漏洩、SNS上でのいじめ等々の問題もあります。最近の学生達を見ていると、じっくり本を読んだり考えたりするより、インターネットを巧みに操り情報を得ている学生が増えているように感じます。これまで教育・研究に携わってきた者として、教育の意義、そして研究のあり方を考えつつ退職の言葉とさせて頂きます。大変お世話になり、ありがとうございました。都留文科大学の益々のご発展をお祈り申し上げます。過ぎし三十余年英文学科教授 福 島 佐江子桜咲く3都留文科大学報 第145号

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