都留文科大学学報(第145号)
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 桜降るなかオレンジロードの急勾配の坂を履き慣れない革靴で登り、足を痛めながら参加した入学式の日を昨日のことのように鮮明に覚えている。その日から4年が経過し、振り返ると、自分の成長をよく実感できる。 他学科の学生からは国際教育学科は英語を勉強している学科だと思われがちだが、個人的には違うと思う。国際的な人材になることが国際教育学科の目標で、英語は副次的に必要なスキルだと考えている。つまり英語はできて当然みたいな風潮があった。だから英語が苦手な私にとって、授業に慣れるまでは苦労した。英語が得意なクラスメートや留学生と英語でグループワークをする際は、話の主導権を完全に握られ、言いたいことが言えず黙り込んでしまうことが何度もあった。そういった状況の中で自分に何ができるのか考え、始めは積極的にプレゼン用のパワーポイントを作ることから始めた。最初は誰でもできる簡単なことからのスタートだったが、4年間続けていく内に今では必要に応じてリーダー役・サポート役を使い分けれるようになった。このようなグループの中で自分が何をするべきなのか・どんな役割を担うべきなのか考えて実践する力は、私の最大の武器になった。このスキルは英語が苦手な私だからこそ身につけることができたと思っている。 4年という期間は長いようであっという間だった。勿論勉学には励んだが、お叱りを受け、それらから様々なことを学んだ。これからの人生でも良いこと・悪いことがそれぞれおこるだろう。その中で国際教育学科で学んだ何からも学び続けることを継続し、Life-Long-Learnerであり続けたいと思う。 文大は本当にふわふわな泡に包まれたような平和な学校だった。優秀な同級生に囲まれ、親切な教授方にも可愛がられ、充実したカリキュラムで勉強できた私は平穏に卒業するのだと思っていたが、コロナウイルス感染が世界規模で蔓延したことにより、私の平和な大学生活が一変した。 私だけでなく、全ての同級生にとっての大きな変化であった。優しく包んでくれていたバブルは見えないウイルスにはじかれ、目の前に現れたのは、冷酷な社会の鏡が映し出すリアルだった。困惑、迷い悩みながら挫折し、それでも果敢に前進する同級生達を見て、校門の外へ出ると、私達は本当に「大人」になるのだと実感した。 大人になるのが不安だったが、もう今は怖くない。生老病死は生物にとっての自然過程であるから、いつ命を失ってもおかしくない環境の中で、どう勇気と知恵を生かし、逃げることのできない困難に直面してきたのかを後世に伝え、生命を次世代へつなぎ渡す役割を、今まで沢山の大人が命懸けで担ってきた。だから、命は点ではなく、線である。人間はきっと螺旋のように、新しい事にぶつかる度、浮き沈みしながら横に伸びて生き、円を描いていく。 「子供は一瞬だけど、大人って長い」。だから長い人生をかけてゆっくりいい大人になっていけばいい。外れても、廻りながらいつかはまた繋がっていくのだと信じて、私もこれから大人として生きていく。私の身につけた武器「大人になる」ということ国際教育学科4年平出熙八思い出の写真学科の仲間と比較文化学科4年姜 雪純13都留文科大学報 第145号

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