ブックタイトルフィールド・ノート no.84 Mar.2015

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フィールド・ノート no.84 Mar.2015

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概要

フィールド・ノート no.84 Mar.2015

21しゃった。「ここにいなきゃこういうチャンスはないからね」とも。館内探検お話を聞かせてくださったあと、山本さんは館内をていねいに案内してくださった。入ってすぐの階段を上った二階の展示室では昔遊びのおもちゃを使ってじっさいに遊ぶことができる。その向かい側の水色の扉を開くとそこはバルコニーだ。こんな素敵な建物が小学校だったなんて、とうらやましく思ってしまう。今までは二階の展示室とバルコニーまでしか行ったことがなかったのだが、なんとその日、特別に建物のてっぺんに入らせていただいた。急勾配の階段をそろそろと慎重に上がっていく。そこは狭い屋根裏部屋のようなところ。薄暗かったが、山本さんが窓を開け放つといっきに外の光が差し込んだ。窓の外は一面の雪景色で、小形山周辺を見渡すことができた。広々とした畑のなかに家が小さく見える。その奥には雪をかぶった山。思わず窓から体を乗り出してしまう。こんな場所があったとは。ここをたくさんの人に知ってほしいような、はたまた自分だけの秘密の場所にしておきたいような不思議な気持ちになった。ここにあること資料館を訪れる人はまずその魅力たっぷりの外観に引き寄せられ、そして山本さんとお話してさらにこの建物のとりこになっていくのかもしれない。そして帰るころになると帰るのが惜しくなって、きっとまた来よう、と思う。私もすでにそのうちの一人だ。私は初めてこの建物を訪れたときに色鮮やかな外観を見て、こんなのどかなところにあ笑いながら小学校のころの思い出を話す山本さんここにあること※小見出し下の折り鶴は資料館に飾られていたもの。ることに驚いた。この場所にあることが少し場違いな感じもしていたのだ。けれど、何度か足を運んだりお話を聞かせていただいたりして、あらためて建物を見上げてみたとき、すっとまわりの景色と馴染んで見えた。それは正直に言って見慣れたこともあるのだろう。でもそれ以上にこの場所に建っていてよかったと思ったからだ。もし、別のところにあったら今とまったく違ったものになっていたかもしれない。人が自然と集まるなんてこともない、ただ歴史的に重要な建造物になっていたかもしれない。ここに建っているからこそ生まれるつきあいがある。つい足を止めてなかに入ってみたくなるような雰囲気がある。それは、建物とそこで時間を過ごしてきた人たちがじっくりとつくってきた替えのきかないものだ。小学校から資料館へ。のんきな学校に人はつどい、そして今も訪れる人をあたたかく迎える。長い年月を経て深みのある茶色になった階段や柱、ほこりのない床。至るところから、愛着をもって大切にされてきたことが伝わってくる。この建物は今、とても幸せそうだ。