ブックタイトルフィールド・ノート no.83 Dec.2014

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フィールド・ノート no.83 Dec.2014

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概要

フィールド・ノート no.83 Dec.2014

9山に現れるようになったのか。その原因はよくわかりません。私たちがフィールドとしている中屋敷でも、2011年にカモシカが赤外線センサーカメラに写っているのを確認しました。越冬する個体数が減ったテントウムシ自然の様子が大きく変化しているのを実感できる例はほかにもあります。自然科学棟には、毎年、10月下旬から11月上旬にかけて多くのテントウムシが越冬にやってきます。この建物は、テントウムシの越冬場所として有名で、1985年ころには、数万匹のテントウムシが越冬に来ていたという記録があります(新妻昭夫編『ナチュラリスト入門』、岩波書店)。しかし、近年、越冬個体数は大幅に減少し、2013年の調査では、1000匹ほど。カモシカがどうして低山に現れるようになったのかという謎と同様、テントウムシの越冬個体数が激減した理由ははっきりしません。これだけ減るということは、自然の動向に大きな変化が起きているということでしょう。注意深く観察する目を育みたい自然の世界の仕組みは複雑すぎて、たとえばニホンジカが尾崎山に増えた理由も、森林の変化なのか、温暖化のためなのか原因を突き止めるのは容易ではありません。しかし、こうして目に見える、また実感を伴って感じることのできる変化を、たとえ何気ないことであっても記録しておくと、多くの人と共有できるよさがあります。このような観察の記録を長年にわたって積み重ねていけばその変化の原因を探る貴重な資料となるでしょう。自然は日々、刻々と変化しています。わたしはその動向に疎いところがあり、森を歩いていても気づかないことが少なくありません。そのたびに、とうていわたし一人では見渡すことのできない魅力的な世界がまだまだ眼前に広がっていることを痛感します。そうした奥深い自然の魅力を楽しみ、変化の原因を探り、どうすればよいかを考えるためにも、地域の多くの人と自然の観察記録をもち寄り、さまざまな変化や気づきを報告しあえる場をつくりたい、というのがわたしの夢の一つです。中屋敷でも記録されたカモシカ(2011年5月10日)自然科学棟で越冬するナミテントウ(2013年2月10日)