ブックタイトルフィールド・ノート no.83 Dec.2014

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フィールド・ノート no.83 Dec.2014

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フィールド・ノート no.83 Dec.2014

38no.83 Dec. 2014うぐいすホールの脇の道からうら山を10分ほど登っていったところに大桑小屋、モグラ小屋という二つの小屋がある。そこが、彼らとの出会いの場だ。ネズミに会いたい10月4日から餌付けを始めた。大桑小屋のなかには小さな穴で外に繋がっているケースが二つ取り付けられている。そのなかにクルミを二、三個とヒマワリの種を散らばせておく。7日、ふたたび餌付けに向かうと、ケースのなかは明らかに様子が変わっていた。どちらのケースにもクルミは一つしか残っておらず、ヒマワリの種もほぼなくなっていた。確かに来ているんだ。なんだかネズミが自分のすぐ近くにいる気がした。その翌日、私は餌付けのために初めて夜の森に入った。もしかするとネズミに会えるかもしれない。そう思って楽しみにしていた。でも、いざ森を目の前にして、その暗さに足がすくんでしまった。懐中電灯の細い光が足下を照らすのみで、前も後ろもすぐ横も、自分の周りすべてが真っ暗だった。こんなにも森に入ることを恐いと思ったのは初めてだ。やっとの思いで小屋にたどり着く。ケースをのぞいてみて驚いた。奥のほうのケースにネズミのものと思われる尿が残っていた。つんと鼻を突くにおいがした。来ている。さっきまでこのケースのなかにいたのだ。恐さが一気に吹き飛んだ。でもその日はもうエサを食べ終わったあとだったのか、ネズミは一度も出て来てはくれなかった。やはりそう簡単に会うことはできない。本当に実物を見ることはできるのだろうか。少しがっかりして山を下りた。待ちにまった対面10月12日、ついに、私のなかでこれから先ずっと心に残るだろう日が来た。この日は前回よりも少し早めの時間から山に入ることにした。大桑小屋についてすぐ、20時50分ごろ、一緒に登っていたメンバーが小屋のなかから赤ライトで外を照らしていると、突然、小さく「来てる!」と声をあげた。私が初めに見たものは、葉の隙間から見える焦げ茶色の小さな背中だった。赤ライトの光を浴びて、つや夜の森へネズミに会いに長尾泉(初等教育学科1年)=文・写真