ブックタイトルフィールド・ノート no.83 Dec.2014

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フィールド・ノート no.83 Dec.2014

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フィールド・ノート no.83 Dec.2014

27中嶌さんの大豆畑連れていってもらったのは、中嶌さんが大豆を育てているという畑だ。車道と畑をわけている柵越しに見る畑は、ずいぶん小さそうに見える。けれど柵のなかに足を踏み入れると、想像していたよりも大きな大豆畑が目の前に広がった。畑の真んなかあたりにある栗の木が絵になってかっこいい。少し黄色っぽくなった大豆の葉は日の光を浴びてきらきら輝いて見えた。思わず「わあ」と声が漏れてしまう。畑全体が下り斜面になっているせいで車道からは全景が見えなかったのだ。「このへんは植えるのが1、2日遅かったからまだ青いんだよね」と中嶌さんが足元に植わっている大豆を一さやとって見せてくれた。枝豆だ。除草剤や虫除けなどの農薬は使わなかったという。「全部植えるのに4日くらいかかったよ、ここ機械も使えないし。めっちゃ大変だった」と中嶌さん。そうか、ここは斜面だから機械が使えないのだ。この広さの畑に手作業で大豆を植えるのは、想像するだけで腰が痛くなってきそう。大変だった、と言うけれど、そう話すようすはどこか誇らしそうだ。中嶌さんが誰かに向かってあいさつをする。視線の先を見ると、畑の奥からおばあさんが現れた。何株か持っていってくださいよ、と中嶌さんがそのおばあさんに話しかけると、じゃあありがとう、と枝豆の収穫が始まった。「今日はカメラマンつきなの」と、わたしに気づいたおばあさんが言う。すると中嶌さんが、わたしや『フィールド・ノート』の紹介をしてくれた。歳がいくつも離れた人とでも楽しそうに話せるのがうらやましい。しばらく話したあと、笑いながらおばあさんは帰られた。『道志手帖』の中嶌さんの活動報告には、中嶌さんに教えたり一緒に活動したりという形で、道志村のかたがよく登場する。道志村を案内していただいたときも、道中出会った地域の人と楽しそうに話す中嶌さんの姿が印象的だった。やりたいことが地域の人たちに受け入れられている。あらためて考えると、わたしには難しそうなことに思えた。けれど、じっさいに中嶌さんにお会いし、活動にかかわる場所を見て思ったことがある。見せてもらった大豆畑は、道志村のなかのほんの一部だ。だけど、感動をくれたあの畑の風景は私にとっての道志村の景色になった。あの畑はどうなっているんだろう、もう大豆は収穫されたのだろうか。それもまた見てみたいな。そんなふうに今は思う。道志村に住む人たちも似た気持ちなのかもしれない。教えたことやアドバイスしたことを、中嶌さんが形にして、そうやって道志村の一部がまたできあがっていくのが嬉しいのだ。道志村の外に住んでいるわたしもまた、中嶌さんの手によって村に新しい景色ができるのを楽しみにしている。大豆のようすを確認する中嶌さん舟田早帆(社会学科2年)=文・写真