ブックタイトルフィールド・ノート no.82 Aug.2014

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フィールド・ノート no.82 Aug.2014

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フィールド・ノート no.82 Aug.2014

43明るい声でおっしゃった。本質を追究する。核心に迫る。最初にその言葉を聞いたとき、わたしは先生がおっしゃったことの意味をあまり理解できなかった。けれど、先生が詩を読んでくださったのを聞いて、ぼんやりとだけれどその意味が見えたような気がする。先生が書く詩の題材は、ふだんの生活のなかで見られる風景や身近にあるものばかりだ。言葉はわたしたちの身近にあるものだし、使えることがもう当たり前になっている。わたしなら何でもないことと思って見逃してしまうことでも、先生は詩で拾い上げているのだ。「見えるものの奥の見えないものを表現してくのね」という先生の言葉をもう一度思い出した。先生はそれが本質を追究することだと言っていた。「見えないもの」というのは、見逃していたり、見ないようにしてきたものなのかもしれない。先生の詩は今まで当たり前だと思って見逃してきたことを気づかせてくれたり、気にも留めなかったものの新しい見かたを教えてくれたりする。だからわたしの心に留まるのだ。それぞれの国がそれぞれの共通語を持っている日本人の共通語は日本語どの様にして手に入れたのか詮索することもなく何の矛盾も感じることもなくくらしのなかで安易に使っているマンママンマパパママダッコことばは劫ごうしょ初人間の命だったことばは生命の絆だった今ことばは仲間を増殖し居場所を特定せずあらゆる場所で氾濫をおこしことばの数だけ人間は病んでいることばは信じてもらえない人間は信じることを装っているだけだそして今ことばは危機に直面している「平和」ということばが危ない「積極的平和主義」とやらは武器を持って外国へ出向くことなのか今だに十五万人もの避難生活者「原発の安全」―とはそんなことばに疑問を抱く曖昧なことばに翻弄され続けているもうことばを信じないことばを見放そうことばが真に内蔵しているもの――人間がそれを見抜けない限りことばは永久に孤独なままだ――「ことばの孤独」遠藤静江・作詩誌『樹』253号より