ブックタイトルフィールド・ノート no.82 Aug.2014

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フィールド・ノート no.82 Aug.2014

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フィールド・ノート no.82 Aug.2014

no. 82 Aug. 2014 16そうだ。じっさいに菊地さんが仕事として継いだのは28歳のころ。それまでは都会暮らしに憧れ、わさび園を継ごうなどとはまったく思っていなかったという。「子どものころからこういう環境に暮らしてたんで、なかなかこれがいいって思えなかった、というか気がつかなかったんですよね」と菊地さん。しかし、さまざまな人と出会い、自然を愛する人たちを目の当たりにしたことでだんだんと心にも変化が表れ、「今では自然が大好きになりました」と朗らかにおっしゃった。そう語るようすは、無邪気な少年のように見えた。お客さんにとっていいものわさび作りをするうえで大変なことは何かとうかがってみると、四季によって状況が変化することだという。しかし菊地さんはすぐに、「大変というか楽しい」ともおっしゃった。その日の気温、天候、さまざまなものが複雑に絡み合ってできている自然は、マニュアル通りのことをおこなったからといって必ずいいものができるわけではない。じっさい菊地さんはわさびのことはまだまだわからないとおっしゃる。けれど、複雑だからこそ毎ともにさまざまな人が写る写真。みなさんの表情に、私の目は釘づけになってしまう。写真について尋ねてみると、ここに写っているかたはみな菊地さんのもとに訪れたかたがただと教えてくださった。菊地わさび園で写真を撮るときの掛け声は決まっている。それは「ハッピー、ラッキー」。最初写真を撮ったときは少し照れくさく感じたけれど、菊地さんと山室さんが満面の笑みで言っているのを聞くとこちらまでつられて日、毎時期、小さくても何かしらの変化がある。それは大変なことでもあるけれど、わさび作りの楽しみでもあるのだ。若いころは自然を制覇する、自分たちが管理している、という意識だったと菊地さん。けれど、10年ほども続ければわかってくることがある。それは、自然は大きくておおらかでやさしいものであること。そして私たちがかなうようなものではないということ。それに気がついたとき、農薬を使って思うままに扱おうとすることをやめたそうだ。そうして無農薬栽培を始めた菊地さんだが、よかったのは自然にとってだけではない。もちろんそれを食べる人間にとってもいいものであった。菊地さんは言う。「まあ、そのころ(農薬を使っていたころ)は自分にとっていいもの、お金だったりとかってことじゃないですか。今はやっぱり、お客さんにとっていいものを第一に」生きいきとした表情お話をうかがっている最中、菊地さんはある方向を指す。示されるままにその方向へ目を向けると、そこにはたくさんの写真が貼られたボードがあった。菊地さんや山室さんと写真が貼られたボード。学生から外国人のかたまでさまざまなかたが写っている