ブックタイトルフィールド・ノート no.81 Jun.2014

ページ
9/48

このページは フィールド・ノート no.81 Jun.2014 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

フィールド・ノート no.81 Jun.2014

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

フィールド・ノート no.81 Jun.2014

9 今回お話を聞かせていただいたのは、東桂にある「パンのいえ ほしのさと工房」を経営されている山口とも子さん(66)。『フィールド・ノート』79号で私がお話をうかがった深ふかさわ澤良よ しみ美さんの尊敬するかたの一人だ。山口さんのお店ではマクロビオティック(※)という健康法に基づき、おもに手づくりのパンを販売している。そんな山口さんのことを深澤さんは「人生の先輩」とおっしゃる。苦難を乗り越え、信念をもって生きているという山口さんとは、どんなかただろう。4月23日、お話を聞くべく、ほしのさと工房を訪れた。星模様の扉を開けるとほしのさと工房は入り組んだ住宅地のなかにある。民家が建ち並ぶその場所は、初めて訪れる人にとってはお店があるとは想像しにくい。けれど玄関を見るとそこには、木製の板にかわいらしい字体で「パンのいえ ほしのさと工房」と手彫りされた看板がある。扉には木を星の形にかたどった模様がついていて、まさにお店の名前を表したような入り口だ。扉を開けると店内は、明るすぎない自然な照明と棚や床に使われた木の素材が素朴さを醸し出している。そんなようすが自分の故郷にあったお店と似ていて、初めて訪れたお店なのに、なんだか少し心が落ち着いた。 こんにちは、と声をかけて少しすると、山口さんが奥からゆっくりと姿を見せ、「いらっしゃいませ」と言う。目を細めて優しい笑みを浮かべるようすは、いかにも優しいお母さんといった印象だ。自己紹介をすると、これはこれはありがとうございます、と深々と頭を下げ挨拶してくださった。緊張から少し早口になる私とは反対に、優しい声色でゆったりと話す山口さん。そんな姿を見ていると、私の緊張もやわらぎ、だんだん落ち着いて話をすることができた。なぜほしのさと工房ができたのか さっそく店内でパンをごちそうになりながら、お話をうかがうことにした。食べたのは、ほしのさと工房おすすめの塩あんぱん。 表面は少し固めだが、なかはやわらかく、もっちりとしている。このパンは、砂糖をいっさい使っていないとうかがったが、レーズンを含んだあんこにはしっかりとした甘味があり、生地は噛めば噛むほど甘くなるように感じた。ほどよい自然の甘さと少しの塩気がおいしくて、どんどん食べてしまいたくなる。けれど、よく噛んだ後にある甘さも捨てがたくて一口ひとくちを味わって食べた。 この塩あんぱんをはじめ、お店で販売されているパンはすべてマクロビオティックに基づいてつくられている。マクロビオティックは、体の弱かった山口さん自身やアトピーだったお子さんの健康を考えてはじめたそうだ。扉の星の部分には色つきの和紙が貼られている