ブックタイトルフィールド・ノート no.81 Jun.2014

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フィールド・ノート no.81 Jun.2014

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概要

フィールド・ノート no.81 Jun.2014

私は2009年から、本学のうら山(尾崎山/地域名・大桑山)にどんな動物が暮らしているかを調べています。調査はおもに赤外線センサーカメラという自動撮影のカメラを使います。動物が目の前をよこぎると、熱を感知して自動でシャッターがおりる仕組みです。現在は5カ所にこのカメラを設置し、動物たちのようすを継続的に観察しています。その一部始終は本誌でもたびたび掲載されているかと思います(本誌バックナンバーを参照ください)。しかし調査を続けていると、たしかにうら山にはいるはずなのに、センサーカメラに写らない動物がいることに気づきます。たとえばムササビがそうです。木の上で暮らす、樹上生活者といわれる彼らはめったに地上に降りてこないといいます。私は偶然にスギの根元に佇むムササビに出会ったことがありますが、たったの一度きりのことで今のところそれが最初で最後の出来事です。センサーカメラは木の幹などにくくりつけて設置するため、樹上をフィールドとするムササビは未だに撮影されたことがありません。おそらく小さな野ネズミのなかまも、すべてを撮影できているわけではないでしょう。それらを補うのと同時に、より広く動物の暮らしている実態を知るために、センサーカメラの設置と並行して彼らの食べ痕(食痕)の調査もしています。動物たちは基本的に、それぞれが特徴的な食痕を残します。すべてがすべてを同定できる訳ではありませんが、たとえばクルミの食痕。リスはきれいに2つに割りますが、アカネズミは両脇2カ所をかじり、穴を空けたところから器用に中身を取り出します(右下写真参照)。クルミの食痕。右上がアカネズミ、中央と左下がニホンリスのもの(2011 年3 月18 日)ムササビが食べた葉の食痕。葉はツルウメモドキのものと思われる(2014 年5 月25 日)私にとって森歩きとは、散歩のひとつです。思うままに歩き、ときには道を逸れたり、足早に歩き抜けたりすることもあります。同じ場所で散歩を続けていくうち、次第に私の散歩はその場所に親しみをもつことに繋がっていきました。